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引き返す勇気

1985年春、山陰・山陽を旅した時のこと。

大山にある宿で泊まった。当時の国鉄が運営していた宿泊所で、ベッドなんかは寝台列車の趣のある所だったと記憶する。建物も駅舎を模したようなものだったか?いつものように記憶は曖昧である。写真もないので、確かめる術もない。

その宿にはスキー客がほぼ全員という風であった。わたしらは鉄道オタク(当時こんな言い方は一般的でなかったが、)の先輩に連れられて宿を取っただけだった。

そこの宿所に次の標語のポスターが貼られていた。この宿所はおそらく冬の大山登山基地にもなるのだろう。もっともそのポスターは全国の冬山スポットに貼ってあったのではないかと推測するが・・・。

「引き返す勇気」

妙に心に残った標語だった。


その旅行の終盤、岡山県にある「鬼の城」という所へ行った。予定より遅れていて、現地に着いたのは日没前であった。せっかく来たのだからと、見学に入ったのだが、途中で道に迷いそうになった。もし、日が暮れてしまえば、明かりもないその史跡から出られそうにない。その時、わたしの脳裏によぎったのが、「引き返す勇気」だ。


わたしは元来た道を引き返し、無事に帰路についた。はぐれていた仲間とも合流できた。今でも思う、もしあのまま進んでいたら「鬼の城」の山中で一夜を過ごさねばならなかったかもしれない。3月の山はまだ寒い。凍えて死んでいたかもしれないし、そうでなくても捜索など大騒ぎになったであろう。


閑話休題、先日の台風で行方不明になっていた名古屋の母子が不幸な結末を迎えた。カーナビが誘導したことが問題視されているようであるが、カーナビユーザーであればカーナビに変な道を案内された経験を一度や二度はあるだろう。


あの道を通ったことがある人であればわかると思うが、たとえ初めて通った人であってもこの道を進んでは危険だと感じるのではないだろうか?


「引き返す勇気」があれば避けることができたのではないかと思う。 


お二人のご冥福を心からお祈りしたい。
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