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本能寺の変について [本のブルース]





年末に京都を訪れた際、知人が推薦される本屋さん兼雑貨屋さんに行ってみた。

京都一乗谷にある「恵文社」さん。その筋ではたいへん有名なお店だそうだ。セレクトされた本や、雑貨類はたいへん趣味がよく、さずがは京都ならではのお店だと感じた。では、このお店が三重県でも成り立つだろうか、と考えてみる。わたしは難しいのではないかと思う。これだけのお店を支える人口・購買力が乏しい。

だからといってそれを嘆くことはない。都市は都市の良さ、役割があり、地方には地方の役割と良さがあるのだから。

閑話休題、年末から年始にかけて、「本能寺の変」に関する本を3冊読んだ。


「本能寺の変」とは、言うまでもなく1582年、天正10年に織田信長が家臣の明智光秀に殺されるという日本史上最大級のクーデター、謀反である。


以下、ネタばれありますのでご注意ください。


最初の本は、明智光秀の子孫の方(明智憲三郎氏)が書かれた『本能寺の変 四二七年目の真実』

この本では、本能寺の変における“七つの謎”を設定し、その謎を解明することで、本能寺の変の通説に挑むという形をとっています。この手法は、梅原猛さんの『隠された十字架』と同じ手法ではないかと思います。

中身は説得力がありました。この考え方は「あり」ではないかとも考えます。本書の肝は、織田信長が徳川家康を殺すことを計画し、本能寺にわずかな手勢でいたという点です。もしかするとこれはそうだったのかもしれません。しかし、全般的にはやや自説に都合よく読み過ぎる傾向もあり、通説を覆すには少し不十分に感じます。


次に読んだのが『本能寺の変 秀吉の陰謀』(井上慶雪氏著)です。こちらは先の本よりも更に過激で、古文書等を自説に都合よく読み過ぎでした。おもしろかったのは同じ資料でもこうも読み方が変わるのかという点です。この本では豊臣秀吉が本能寺の変の黒幕だということですが、たとえもしそうだとしても本書の説明では不十分だというのが私の考えです。


最後に読んだのが、津本陽氏の『「本能寺の変」はなぜ起こったか』。この本は本能寺の変に対する最近の諸説のバカバカしさを正確に論破している。いい意味での教科書であり、本能寺の変のベーシックな知識を身につけることができる好著である。


明智光秀が謀反を起こした理由について、津本氏は遠慮がちに、「光秀、ノイローゼ説」を採っている。さもありなんと、私はこの説に同意する。史実が示すように、自分の将来に不安を持った光秀が、元来は気性が異なる信長に対して殺意を持ち、それを実行したのではないか?その背景には、信長の今後の政策があり、その政策には秀吉や家康はじめ、信長の家臣たちは各自考えるところがあったというところではないだろうか?その考えの違いが、織田信長が死ぬという極限状態の中での各自の行動の違いになったのではないかと考える。

いずれにしろ面白い3冊であった。そして、舞台となった本能寺がある京都は、なんとも奥深い街だと改めて思った次第。
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