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『小説 浅草案内』




たまたま書店でみつけて購入。30年くらい前に書かれたものの復刻版。


小説とあるけど、中身はエッセイ。いや、読みようによっては短編集ともとれる内容だからやっぱり小説かな。いずれにしてもとびきり良い本であることにまちがいない。


半村良さんの本を読むのは30年以上ぶりかな?狼シリーズとか、『戦国自衛隊』とかをかつて読んだなぁ。


昭和の終わり頃の浅草を作者・半村良氏が交遊録として描いている。文章が洒脱で、語り口がまろやかといおうか、やさしすぎず、きびしすぎず、とにかくいいのだ。


同じ時期に書かれた、五木寛之氏の『金沢望郷歌』とも通じるところがあると感じた。


半村氏は執筆当時50歳。書きぶりからすると、人生の最終コーナーを回った感じで自らの立ち位置を描いている。昭和の終わり頃の50歳といえばそんな感じだったか?今の60代に近いかもしれない。


この本にでてくる浅草人の心はたいそう上等だ。それは誇張でも幻想でもなく、その通りなのだろう。半村氏はそれを評価や解説するのではなく、事実と心情を縦糸と横糸にして、巧みに文章を織り上げている。


閑話休題、三観音の浅草がこうであれば、大須や津の観音さんを舞台にこんな小説が生まれてほしいなぁ、と思う。


私は今、大須で飲むことが多いが、津に戻ってきたらまた大門で飲むことにしよう。
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