『老人と海』を読み直す [本のブルース]
何年ぶりかでヘミングウェイの傑作と言われる『老人と海』を読み直しました。
前に読んだ新潮文庫版は紛失したので、新たに光文社古典新訳文庫版を購入いたしました。
今回読み直すきっかけとなったのは、私が定期的に読んでいる某経営者の方のFacebookに推薦的内容が書かれていたからです。
さて、前回も今回も、私にはこの本の内容はあまり響きませんでした。
あらすじは、【ネタバレありになります】、老いた漁師が80日以上不漁続きで困窮しているところ、3日3晩の格闘の末ついに大物カジキを釣り上げることに成功するのだが、帰港途中にカジキはサメの餌食となり最後は骨だけになったカジキと港へ帰り着くというだけの話。
私は釣りもしないし、マリンスポーツもしないので特に揺さぶられるものがないのかもしれません。
老人は漁師としてこの年齢(具体的な歳はわかりませんが)まで生計を立て、過去には大層な町一番の力持ちであったというエピソードも途中で挿入されています。
老いたるとはいえ、過去の経験から大物カジキに怯むことなく、獲物を追い詰め最後は銛で仕留めるというとても老人とは思えない離れ業を見せます。
今までにない大物をサメに全部食べられても老人はパニックになることもなく、稼ぎがなくなったと落ち込み、疲れをいやすために眠り続けることで話は終わります(決して死んでるわけではなく)。
果たしてこの老人にとって海とは何なのか?
漁師は老人にとって仕事であり、海は職場であると言えるかもしれませんが、会社員の職場とは意味合いが違うでしょう。
フレデリック・フォーサイスの短編で『帝王』という作品があります。
『老人と海』をオマージュしたような話で、私にはこちらの方がしっくりきたりします。
『帝王』のあらすじは、【ネタバレありになります】、定年間近な銀行員が休暇で海辺の町に出かけ、ひょんなことから釣り船に乗り、老いた漁師の手ほどきを受けながら「帝王」と呼ばれる大物をビギナーズラックで釣り上げ、最後銀行を辞めて海辺の町に住むことを決意するという話でした。(昔読んだので記憶違いがあるかもしれません。)
この『帝王』が『老人と海』の解説本であり、私のような拙い読み手とヘミングウェイの架け橋のような気がしてなりません。
『老人と海』は、単純な話の中に人間が生きる意味、楽しさ、厳しさ、苦しさを描き、最後に読者の生き方を問うという話のような気がします。
【追記】
『老人と海』には脇役として老人に漁の指導を受け、その縁から老人を慕う少年が登場します。
2020-08-19 06:00
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