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映画『探偵物語』

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この頃の角川映画はまるで薬師丸ひろ子の成長記録のようである。

以前ご紹介した『Wの悲劇』は少女から女に脱皮する物語であったが、それより前に作られた『探偵物語』は少女から抜けきれない薬師丸ひろ子を描いている。

以下は私見と記憶ベース。

随所で薬師丸ひろ子のお転婆ぶりが発揮されるなど完全に彼女のプロモーションムービーになっている。

監督は当時、新進気鋭の根岸吉太郎、脚本は当時売れっ子の鎌田敏夫、原作は爆発的に売れだした赤川次郎。加えて主題歌は松本隆作詞、大瀧詠一作曲、薬師丸ひろ子唄という強力布陣だ。これで売れないわけがない。

そして、この映画では「松田優作」と「探偵物語」という禁じ手を使ってしまった。1983年の公開時には「これでは詐欺ではないか」、「騙しだ」と私は思った。

私と同世代の大半はそう思っていた。同世代というのは1978年に放送された松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』をこよなく愛する連中である。

同名の映画で主演俳優が同じ松田優作であればテレビの映画化だと考えるのは普通だろう。

それをこの映画はあっさりと裏切ったのだ。つまり、タイトルが一緒なだけでなんの関係もないのだ。(今考えても不思議。道義上の問題はないのか?)

映画としては普通の出来であったとしても私らのようなものが酷評したのは先に記した通り。

加えて岸田今日子をつかったのも誤解を生んだ。テレビの『探偵物語』は萩原健一主演の『傷だらけの天使』をオマージュした作品であることはファンの間ではよく知られていた。その『傷天』で探偵事務所の所長役をしていたのが岸田今日子だった。彼女が出演するとなると傷天とのコラボという別の想像も膨らんだのだ。

松田優作がいつ本来の演技を魅せてくれるのかと期待して映画を見ていたがついにそのときはこなかった。

数少ない松田優作らしい演技はなりすましの電話をかけるシーンとラストのキスシーンだけだった。キスシーンはそれまで抑え気味だった松田の演技と違いけっこう荒々しかった。

あとこの映画で妙に印象深ったのは岸田今日子の「言うと減りますから」というセリフと、松田優作がお茶を入れるシーンだった。

松田優作はこの映画と同じ年に公開された『家族ゲーム』でも主役を務めた。彼はこの二作で新境地を開き、それまでのアクションスターから演技派に脱皮した、というのが私の勝手な認識。

そういう意味では映画『探偵物語』も貴重な松田優作のマイルストーンだと思う。

閑話休題、それにしても薬師丸ひろ子のアニメ声と体型からは当時のファンの熱狂ぶりは想像できない。


私の印象になるが、二十歳を超えてから彼女の人気は下降線になり、芸能界からフェードアウトしていく。次に彼女が活躍しだすのは実年齢が30代後半になってから母親役としてで、賢い彼女は自分の持ち味が発揮されるのは二十代ではないことを知っていたような気がしてならない。
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