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黄金の日日 [f]

2022-04-25T10:07:10.jpg
昨日録りためてあった昔のNHK大河ドラマ再放送『黄金の日日』をようやく観終えた。

1978年放送。原作は城山三郎、脚本は市川森一という当時としては異色コンビ。

原作者の城山は経済小説の第一人者であったが、本格的な歴史モノはこれが初めてではなかったか?浅学の私の知る範囲であるが、これ以降、他のジャンルで活躍した作家が歴史モノに参入することが増えた気がする。(その前に松本清張がいるけどね。)

おそらく詳しい史実や伝記が残っていないと思われる納屋(呂宋)助左衛門が主人公。この助左衛門の視点から戦国時代を活写した。

助左衛門の視点というのは、市井の人々の視点であり、商人の視点である。

そのため本作では合戦シーンは少なく、その代わり他の大河ドラマではまず見ない場面が割と残酷に描かれる。

それは信長の比叡山焼き討ちにおける山から逃げまどう僧侶や女、子どもが殺される場面。秀吉の鳥取城兵糧攻めにおける城内の飢えた様子。伴天連追放による処刑や荒木村重謀反による一族郎党の処刑など戦国大名のダークサイドを描くことで、戦争の恐ろしさや、その争いの原因になる権力者の横暴や無能、無為無策ぶり等々をあぶり出していた。


一方の市川森一は当時人気の脚本家で、(私はやっぱり『傷だらけの天使』となるが)、本作も中身の濃いセリフのやりとりだったと思う。全編を見終えて、これぞ大河と思った。主人公だけでなく主人公を中心にしたそれぞれの人生を丁寧に描き、人間の生き様と乱世から安定した世の中に移りゆく様を鮮やかに切り出し結びつけている。

閑話休題、この再放送を全て観たのはいくつかの名シーンを再度観たかっから。

一つは助左衛門が金ヶ崎の戦いで秀吉に鉄砲を届ける場面。絶体絶命の殿を務める秀吉、それを助けた家康、光秀の陣中に助左衛門が到着したときのやりとりが忘れられない。隠れた名シーンだと思う。

もう一つは根津甚八の当たり役・石川五右衛門が太閤秀吉を暗殺しようと突撃する場面と、捕らえられて釜茹での刑となる場面。どちらも大河史上に残る名場面である。


若き日の夏目雅子、竹下景子、名取裕子らも美しい。特に名取裕子はこれを足がかりに大女優になっていた感がある。

秀吉役の緒形拳の名演ぶりは今更言うまでもないが、ねね役の十朱幸代は出演は少ないながら尾張言葉がうまく、非常に印象に残っている。特に最後大坂城を去る前の独白がいい。原作者も脚本家もこの秀吉夫妻に人間の生き様を端的に表現させた気がする。

前にも書いたが、残念なのは当時のNHKのセットの拙さである。そこは見ないことにして味わった。
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