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吉森大祐『東京彰義伝』の続き [f]

2023-01-29T12:10:38.jpg
浅田次郎さんの小説を思い出した。

聞き書き風にまとめるのは『壬生義士伝』に似ていると思った。

江戸っ子、そして東京人のルーツとは。「宵越しの銭は持たない」の本意がわかったりもした。

こんな素晴らしい話を書ける作者はどんな人なのだろうと思いを馳せた。

1968年東京生まれ。慶應義塾文学部卒とある。さもありなんと納得も得心もした。三代続いて江戸っ子という理由は知らないが、吉森氏は生粋の江戸っ子なのではないだろうか?本作には東京ではなく、江戸の町に対する愛情が満ち溢れている。

そして、五十代という年齢が登場人物の心情を豊かにとらえ、鮮やかな筆致で書き起こしていると感じた。

薩長軍に占拠された江戸町民の気持ちはいかばかりだったのか、そんな史観で明治新政府を見たことがなかった。

私の知識というのは、せいぜい司馬史観と呼ばれるようなものだ。すなわち司馬遼太郎氏の一連の作品から得たものにすぎない。(その知識も浅く、忘却の彼方となっている。)

微かな記憶では、新政府で長州出身の大村益次郎があっという間に上野の山に籠もる旧幕府側の彰義隊をやっつけたという断片的なものである。

恥ずかしながら輪王寺宮公現法親王能久、後の北白川宮能久親王のことは全く存じ上げなかった。その他この作品の登場人物のことはほとんど知らない。

閑話休題、そうなると気になるのはどこまでが事実で、どこからがフィクションなのかということだが、それを言うのは野暮というものだろう。

最後の下げにホロリとさせられた。

年始だが、今年一番のおすすめになる気がする。
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