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娯楽としての読書 [本のブルース]

2020-09-06T22:25:58.jpg

松本清張氏が、「自分の書いた小説を読むことで、その日にあったイヤなことを忘れて明日も頑張ろうと思ってもらえるようなもんじゃなければ小説の価値がない」といった意味のことを言われていたそうです。


昭和の高度成長期は、労働者にとって楽しいことばかりではなく、今よりもパワハラやセクハラなんかも多かったハードな時代です。 社会全体が今よりたくましく、そして若かったから数多のハラスメントをはねのけられたのでしょう。二桁成長が世の中を癒やしてくれたはずです。


とはいえ、健全な憂さ晴らしは必要だったことでしょう。その一つが読書でした。 娯楽が少なかったこともあって、かつての読書は今よりももっともっとエンタメ性が求められたものと推測します。


閑話休題、今更ながら4年前のベストセラーを紹介するのも気がひけるのですがいつものこととお許しください。 グリコ森永事件を題材にした『罪の声』は文句なしに面白くて、ページをめくる手が止まりませんでした。


まさに、昼間のイヤなことも忘れて夢中になって読み切りました。 本作は今秋映画になるそうで、そちらも今から楽しみです。


私は今まで現代の若手作家の作品を読むことが少なかったのですが、これからはもっと読もうかと思います。


全くの余談ながら、若い頃の私はキツネ目の男に似ていると言われたものです。 森永救済の用のお菓子パックを父親が買ってきたことも思い出しました。


果たしてあの犯人(たち)は今どうしているのか?


作者・塩田武士氏の筆力と構想力の素晴らしさに感心し、行間に滲む執念に魅せられた1冊でした。

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