『破天荒』② [f]
さて、昨日アップした高杉良著『破天荒』を読んだ理由は、2021年6月6日付け中日新聞の書評欄で紹介されていたからだ。
評者は佐高信氏。
さすがは佐高さん、紹介した引用文も目の付けどころが違う。
本書には数多くのエピソードが登場するが、その中で今井善衛元通産次官に著者が叱られる話を選び、著者・高杉良の執筆姿勢に論及するところはお見事としか言いようがない。
加えて、今井善衛の枕詞として、「安倍晋三を操っていたといわれる今井尚哉の伯父」という素性を書いて現代と結びつけるところは流石である。
通り一遍の書評であれば私は読まなかったかもしれないなぁ。
評者は佐高信氏。
さすがは佐高さん、紹介した引用文も目の付けどころが違う。
本書には数多くのエピソードが登場するが、その中で今井善衛元通産次官に著者が叱られる話を選び、著者・高杉良の執筆姿勢に論及するところはお見事としか言いようがない。
加えて、今井善衛の枕詞として、「安倍晋三を操っていたといわれる今井尚哉の伯父」という素性を書いて現代と結びつけるところは流石である。
通り一遍の書評であれば私は読まなかったかもしれないなぁ。
高杉良著『破天荒』 [f]
高杉良氏の自伝的小説であり、著者最後の作品になるかもしれないと言われている。
高杉氏は御年82歳。そんなご高齢とは思えないほど筆致は瑞々しい。
作者の若かりし頃はイコール日本の高度成長期真っ只中。
時代が若いということは、社会も若く。そこに生を受けた若者が己の才能をフル回転させて遮二無二活躍するストーリーは読む者を元気にしてくれる。
高杉氏の才能が羨ましい限りである。
閑話休題、作中に四日市コンビナートの話がたくさん出てきた。親近感があって、そうしたことも面白い理由だった。
自分がこの時代に生まれても活躍することはないだろう。
力の有る無しは残酷なジャッジをするもんだと思う。
高杉氏は御年82歳。そんなご高齢とは思えないほど筆致は瑞々しい。
作者の若かりし頃はイコール日本の高度成長期真っ只中。
時代が若いということは、社会も若く。そこに生を受けた若者が己の才能をフル回転させて遮二無二活躍するストーリーは読む者を元気にしてくれる。
高杉氏の才能が羨ましい限りである。
閑話休題、作中に四日市コンビナートの話がたくさん出てきた。親近感があって、そうしたことも面白い理由だった。
自分がこの時代に生まれても活躍することはないだろう。
力の有る無しは残酷なジャッジをするもんだと思う。
私もしたから・・・ [f]
昔、私が金融商品を売っていたとき、上司から教えてもらった「禁じ手のセールストーク」の一つが、
「この商品私も気に入っていて購入したんですよ」
だった。
たとえ本当に自分で買っていたとしても、お客様に客観的な判断力を鈍らせるということや売る側の恣意性が入るということで禁じられていた。
果たしてこの広告はどうだろうか?
医者の私が打っているんだから安心しなさい、という意味なら、この医師と私では年齢も体質も持病の有無やいろんなことが違う。それを無視しても大丈夫だということなんだろうか?
政府広報さんにお聞きしたい。
「この商品私も気に入っていて購入したんですよ」
だった。
たとえ本当に自分で買っていたとしても、お客様に客観的な判断力を鈍らせるということや売る側の恣意性が入るということで禁じられていた。
果たしてこの広告はどうだろうか?
医者の私が打っているんだから安心しなさい、という意味なら、この医師と私では年齢も体質も持病の有無やいろんなことが違う。それを無視しても大丈夫だということなんだろうか?
政府広報さんにお聞きしたい。
クラフトビール [f]
新ジャンルの安いビールが増える一方で、高級ジャンルのクラフトビールも各社こぞって開発してくる。
こうした面にも消費の二極化がうかがえる。
コロナの影響でうち飲みが増え、外で飲むよりは安いからという理由もあるだろう。
閑話休題、写真のキリンの製品は少し甘い感じがした。根がドライ好きであるが、これはこれで悪くない。
コロナが収まって外でワイワイやりたい。
こうした面にも消費の二極化がうかがえる。
コロナの影響でうち飲みが増え、外で飲むよりは安いからという理由もあるだろう。
閑話休題、写真のキリンの製品は少し甘い感じがした。根がドライ好きであるが、これはこれで悪くない。
コロナが収まって外でワイワイやりたい。
こしらの集いin津 2021年6月 [f]
この前の日曜日、【こしらの集い】に行ってきた。
相変わらずの舌好調ぶり。
このようなコロナ状況下、クラスターを発生することもなく運営している立川こしら師匠やそれを蔭で支える各会場のスタッフの方々の努力は【奇跡】といっていい。
こしら師匠は《怖いもの知らず》的に全国を回り、この時期大阪や沖縄、札幌でも講演している。しかもベースは東京だ。いかにPCR検査をこまめに受けているとはいえ、検査の狭間で感染すれば意味はない。
こしら師匠は悪ぶったキャラであるが、飲酒はされないし、会食もあまりお好きではないようだ。
ご本人いわく、海外旅行に行く際にいろんな予防接種を過去に打ってきたので何かしらの免疫があるのかも?!
こしら師匠のストイックな生活ぶりと用心深さが感染しない理由なのだと思う。
コロナ禍が収まった時に振り返りこの偉業を讃えたい。そのためにはあと少し、無事に乗り切ることが必要だ。
相変わらずの舌好調ぶり。
このようなコロナ状況下、クラスターを発生することもなく運営している立川こしら師匠やそれを蔭で支える各会場のスタッフの方々の努力は【奇跡】といっていい。
こしら師匠は《怖いもの知らず》的に全国を回り、この時期大阪や沖縄、札幌でも講演している。しかもベースは東京だ。いかにPCR検査をこまめに受けているとはいえ、検査の狭間で感染すれば意味はない。
こしら師匠は悪ぶったキャラであるが、飲酒はされないし、会食もあまりお好きではないようだ。
ご本人いわく、海外旅行に行く際にいろんな予防接種を過去に打ってきたので何かしらの免疫があるのかも?!
こしら師匠のストイックな生活ぶりと用心深さが感染しない理由なのだと思う。
コロナ禍が収まった時に振り返りこの偉業を讃えたい。そのためにはあと少し、無事に乗り切ることが必要だ。
自治会って・・・ [f]
写真は今日の中日新聞。
引き続き某市の自治会をめぐる不正事件の報道記事である。
記事によればそもそもパトロール委託料として6年間で5,280万円支払われていることとなる。単純計算で年間880万円、一日当たり約24,000円だ。
どんなパトロールかわからないが、これって結構高額なのではないか?
同じようなパトロールは他の自治会でも行われているとすれば、市の財政はどうなっているのだろうか?
不正や詐欺云々の前にこの金額が適正なものかどうかを議論すべきではないだろうか?
引き続き某市の自治会をめぐる不正事件の報道記事である。
記事によればそもそもパトロール委託料として6年間で5,280万円支払われていることとなる。単純計算で年間880万円、一日当たり約24,000円だ。
どんなパトロールかわからないが、これって結構高額なのではないか?
同じようなパトロールは他の自治会でも行われているとすれば、市の財政はどうなっているのだろうか?
不正や詐欺云々の前にこの金額が適正なものかどうかを議論すべきではないだろうか?
ウルトラQ「地底超特急西へ」 [f]
ウルトラQを見ていて驚くのはなんと言ってもその独特な発想だ。いいえ、発想ではなくて情報通だったのかもしれない。
「地底超特急 西へ」では稲妻号と呼ばれる時速5〜600キロの夢の特急が出てくる。
これなどは動力こそ違え、まるでリニアモーターカーだ。
本作は昭和40年代初頭の作品で、世間では新幹線が走り出してまだ2〜3年しか経っていない頃だ。
リニアの記録を見ると、すでにその頃構想はあったが、一般的ではなかったようである。
本作の作者は、どこかでリニアの話を聞き、この話を思いついたのではないだろうか?
閑話休題、ウルトラQの特撮部分は今見ると子どもだましのようだが、役者が演じる部分はよく作り込まれていると思う。
それとエンディングが少し物悲しくて印象深い。本作も同様であった。
「地底超特急 西へ」では稲妻号と呼ばれる時速5〜600キロの夢の特急が出てくる。
これなどは動力こそ違え、まるでリニアモーターカーだ。
本作は昭和40年代初頭の作品で、世間では新幹線が走り出してまだ2〜3年しか経っていない頃だ。
リニアの記録を見ると、すでにその頃構想はあったが、一般的ではなかったようである。
本作の作者は、どこかでリニアの話を聞き、この話を思いついたのではないだろうか?
閑話休題、ウルトラQの特撮部分は今見ると子どもだましのようだが、役者が演じる部分はよく作り込まれていると思う。
それとエンディングが少し物悲しくて印象深い。本作も同様であった。
映画『シン・エヴァンゲリオン』 [f]
今日は映画『シン・エヴァンゲリオン』を観てきた。
私はエヴァンゲリオンに詳しくない。
昔、一度一通り見たが、あまり記憶にない。そもそも見たときからよくわからないところがあった。
そんな私が今回観に行こうと思ったのは、歴史的大作アニメがいよいよ大団円を迎えるのでそれを見届けたかったからなのと、当作が『シン・ゴジラ』の興行収入を抜いたという報道に接したからである。(私は『シン・ゴジラ』フェチなので。総監督は同じというのが素晴らしい。)
閑話休題、さすがにそれだけのことはある。アニメとは思えない迫力ある映像には感服至極。
話し運びも良く、初心者でも楽しめるように作ってあるところも感心した。なおかつ、おそらくコアなファンにもたまらんエピソードがそこらじゅうに散りばめられていることを感じた。つまり、エヴァ初心者から上級者まで楽しめるように作ってあるのがスゴイ。
私でも目頭が熱くなるのだからコアなファンの方々はさぞかし泪をこぼしたことだろう。
エヴァンゲリオン、もう一度見直してみようか?!と、思った。
私はエヴァンゲリオンに詳しくない。
昔、一度一通り見たが、あまり記憶にない。そもそも見たときからよくわからないところがあった。
そんな私が今回観に行こうと思ったのは、歴史的大作アニメがいよいよ大団円を迎えるのでそれを見届けたかったからなのと、当作が『シン・ゴジラ』の興行収入を抜いたという報道に接したからである。(私は『シン・ゴジラ』フェチなので。総監督は同じというのが素晴らしい。)
閑話休題、さすがにそれだけのことはある。アニメとは思えない迫力ある映像には感服至極。
話し運びも良く、初心者でも楽しめるように作ってあるところも感心した。なおかつ、おそらくコアなファンにもたまらんエピソードがそこらじゅうに散りばめられていることを感じた。つまり、エヴァ初心者から上級者まで楽しめるように作ってあるのがスゴイ。
私でも目頭が熱くなるのだからコアなファンの方々はさぞかし泪をこぼしたことだろう。
エヴァンゲリオン、もう一度見直してみようか?!と、思った。
朱野帰子著『わたし、定時で帰ります。』 [f]
働き方改革が言われて久しい。
そこにコロナ禍がやって来て働き方改革がある面では進んだ気がする。そういう意味ではコロナ禍は「黒船」のようだ。
その昔、まだ昭和だった頃、テレビドラマ『熱中時代刑事編』で次のような台詞があった。
「能力のない奴ほど熱心さでカバーしようとするんだよなぁ」
昭和54年ごろのドラマだったと記憶するが、その時代のゴールデンタイム枠の番組で使うには勇気のある言葉だったように今では思う。
公務員の心得と言われた、遅れず休まず働かずは、案外日本企業全てに当てはまっていて、程度の差こそあれどこの民間企業でも同じようだったのではないか、と言ったら、高度成長期の企業戦士に殴られるだろうか?
しかし、無用・無駄な会議や接待、上司とのつき合いなどに取られる時間が多かったのも事実であろう。
地方から東京へ陳情に行く、あるいは東京本社への出張。逆も然りで、地方への視察。それらの大半は現場主義とか、靴を減らす、汗をかくなどという甘い幻想的な言葉で誤魔化されていたのではないだろうか?
果たして令和になった今、それらが全て払拭したとは言い難い。大幅に減ったとは思うが、まだいくらかは残っているだろう。否、IT化が進み、形を変えて潜伏しているかもしれない。
閑話休題、『わたし、定時で帰ります。』は2018年に出版された。
つまり、コロナ禍前である。
今読んでも古くさくはないが、コロナ禍であれば別の話になったような気もする。
定時に皆んなが帰れない理由。それは無能な上司がいるからだ。この作品にももちろん登場する。
「真に恐ろしいのは敵にあらず。無能な上司なり。」と、喝破する。
では、無能な上司とはどういう人物を言うのか?そもそも無能なのにかなりの力を持つ地位になぜつけるのか?
その答えは、「日本人はまじめ。仕事があれば家に帰れない。そういう国に自分は生まれた。」にあると私は思う。
会社がゴーイング・コンサーンである以上、仕事はなくならない。今日はここまでと区切りをつけるだけである。一つの仕事の締切を終えても、別の仕事が次に控えている。
つまり、定時で帰ることはできないのだ。
遅れず、休まない人が評価されるから無能な上司が生まれるのだと思う。
朝一番に来て、夜最後に帰る部下をかわいく思わない上司は少ない。反対に定時に出社し、定時で帰る部下を苦々しく思う人が普通だ。これは上司に限らず、同僚や後輩もそう思う。本当に優秀な人は煙たがられるのだ。
作者は主人公にこう言わせている。
「定時に帰るのは勇気のしるし、だよ」
このセリフがこの話の肝であり、私に一番響いた。
私個人の感想だが、本書は前半が痛快で、後半はややキレが悪く、なんとなくスッキリしない結末だ。物語にリアリティを持たせるとこうなるのだろう。
裏返せば、この国で真に働き方改革が達成されるのはまだまだ先ということではないだろうか?!
そこにコロナ禍がやって来て働き方改革がある面では進んだ気がする。そういう意味ではコロナ禍は「黒船」のようだ。
その昔、まだ昭和だった頃、テレビドラマ『熱中時代刑事編』で次のような台詞があった。
「能力のない奴ほど熱心さでカバーしようとするんだよなぁ」
昭和54年ごろのドラマだったと記憶するが、その時代のゴールデンタイム枠の番組で使うには勇気のある言葉だったように今では思う。
公務員の心得と言われた、遅れず休まず働かずは、案外日本企業全てに当てはまっていて、程度の差こそあれどこの民間企業でも同じようだったのではないか、と言ったら、高度成長期の企業戦士に殴られるだろうか?
しかし、無用・無駄な会議や接待、上司とのつき合いなどに取られる時間が多かったのも事実であろう。
地方から東京へ陳情に行く、あるいは東京本社への出張。逆も然りで、地方への視察。それらの大半は現場主義とか、靴を減らす、汗をかくなどという甘い幻想的な言葉で誤魔化されていたのではないだろうか?
果たして令和になった今、それらが全て払拭したとは言い難い。大幅に減ったとは思うが、まだいくらかは残っているだろう。否、IT化が進み、形を変えて潜伏しているかもしれない。
閑話休題、『わたし、定時で帰ります。』は2018年に出版された。
つまり、コロナ禍前である。
今読んでも古くさくはないが、コロナ禍であれば別の話になったような気もする。
定時に皆んなが帰れない理由。それは無能な上司がいるからだ。この作品にももちろん登場する。
「真に恐ろしいのは敵にあらず。無能な上司なり。」と、喝破する。
では、無能な上司とはどういう人物を言うのか?そもそも無能なのにかなりの力を持つ地位になぜつけるのか?
その答えは、「日本人はまじめ。仕事があれば家に帰れない。そういう国に自分は生まれた。」にあると私は思う。
会社がゴーイング・コンサーンである以上、仕事はなくならない。今日はここまでと区切りをつけるだけである。一つの仕事の締切を終えても、別の仕事が次に控えている。
つまり、定時で帰ることはできないのだ。
遅れず、休まない人が評価されるから無能な上司が生まれるのだと思う。
朝一番に来て、夜最後に帰る部下をかわいく思わない上司は少ない。反対に定時に出社し、定時で帰る部下を苦々しく思う人が普通だ。これは上司に限らず、同僚や後輩もそう思う。本当に優秀な人は煙たがられるのだ。
作者は主人公にこう言わせている。
「定時に帰るのは勇気のしるし、だよ」
このセリフがこの話の肝であり、私に一番響いた。
私個人の感想だが、本書は前半が痛快で、後半はややキレが悪く、なんとなくスッキリしない結末だ。物語にリアリティを持たせるとこうなるのだろう。
裏返せば、この国で真に働き方改革が達成されるのはまだまだ先ということではないだろうか?!