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逢坂冬馬著『同志少女よ、敵を撃て』 [f]

2022-04-09T22:05:33.jpg
逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』をようやく読み終えた。

私がもたもた読んでいるうちに本書は【本屋大賞】を受賞した。

本書は直木賞候補であったが、残念ながら受賞できなかった。

ある書評家は、直木賞発表前に、「今回の候補作の中で自分では本作が一番面白かった」と言っていた。

そのあと、こう付け加えた。

「外国を舞台にした作品は、リアリティがないという理由で、過去落選してきた」。

はたしてその予言(?)通り、『同志少女よ、敵を撃て』は直木賞から漏れた。漏れた表現したのは、今年初めに発表された同賞の受賞作は二つあったから。二作とも戦国時代ものである。


両方とも私はまだ読んでいないが、『同志少女よ、敵を撃て』を上回る面白さというのは、想像を絶する面白さに違いない。

『同志少女よ〜』はよくぞここまで、と思うくらい、リアルで、かつ詳しい。

舞台は外国かもしれないが、400年以上前の戦国時代の実態を知ることなど不可能であるのだから、日本か外国かでリアリティを論じることは無意味だと思う。

閑話休題、現実に起きてしまったロシアとウクライナの戦争。

本書473pに次のような文がある。

「ロシア、ウクライナの友情は永遠に続くのだろうか」

リアリティがないと言われた本書が皮肉にも現実とシンクロするとはあまりに悲しすぎる。

巻末に掲げられた参考文献は学者が記すそれであり、本書が細部まで真実に迫ることができた理由に他ならない。
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