『男はつらいよ 第34作 真実一路』 [f]
表題の作品のマドンナは大原麗子さん。美形なのは言うまでもないが、彼女の真の魅力は「声」であろう。少しハスキーな声が男女を問わず人を惹きつけた。
閑話休題、本作は1984年、昭和59年に封切られた。
昭和末期、バブル経済直前ながら高度成長期が終わって10年と少しが経ち、奇跡的な経済成長の歪みがそこかしこに出てきた時代であった。
本編のあらすじはエリート証券マンが蒸発し、寅さんがその男を捜す話である。その証券マンの男はモーレツに働いてきたが、ある日ふと立ち止まってそんな日常に疑問を持ち行方をくらます設定。そのきっかけになったのは自由人であるフーテンの寅さんと出会ったからのようだ(そのあたりは明確に説明されていない)。
そして、秀逸なのがこのラストシーンだと私は思う。
寅さんが旅先で駅のベンチに寝転がり列車を待っていてもちっとも来ない。そこで寅さん様子を見にホームへ入って驚いた。なんと廃線になっていたのである。
寅さんは相棒のポンシュウに冗談をとばして二人で廃線を歩いていく後ろ姿がこの映像である。
中年男性の二人の後ろ姿はなんとも淋しい。高度成長に乗れず、そのおこぼれにあずかってきた境遇のなれの果てというのは言い過ぎか!?
機を読むのに鋭敏な山田洋次監督は時代の転換点をいち早く察知し、このような象徴的エンディングを作ったというのは深読みが過ぎるだろうか?
昭和が終わっていく様を二人の背中とお尻で実に侘びしく表現している。
閑話休題、本作は1984年、昭和59年に封切られた。
昭和末期、バブル経済直前ながら高度成長期が終わって10年と少しが経ち、奇跡的な経済成長の歪みがそこかしこに出てきた時代であった。
本編のあらすじはエリート証券マンが蒸発し、寅さんがその男を捜す話である。その証券マンの男はモーレツに働いてきたが、ある日ふと立ち止まってそんな日常に疑問を持ち行方をくらます設定。そのきっかけになったのは自由人であるフーテンの寅さんと出会ったからのようだ(そのあたりは明確に説明されていない)。
そして、秀逸なのがこのラストシーンだと私は思う。
寅さんが旅先で駅のベンチに寝転がり列車を待っていてもちっとも来ない。そこで寅さん様子を見にホームへ入って驚いた。なんと廃線になっていたのである。
寅さんは相棒のポンシュウに冗談をとばして二人で廃線を歩いていく後ろ姿がこの映像である。
中年男性の二人の後ろ姿はなんとも淋しい。高度成長に乗れず、そのおこぼれにあずかってきた境遇のなれの果てというのは言い過ぎか!?
機を読むのに鋭敏な山田洋次監督は時代の転換点をいち早く察知し、このような象徴的エンディングを作ったというのは深読みが過ぎるだろうか?
昭和が終わっていく様を二人の背中とお尻で実に侘びしく表現している。