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『三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実』 [キネマのブルース]

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こんな時ですが、尊敬する知人からの強烈な推薦もあり、昨日、映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』を観てきました。


観客は驚くべきことに私一人でしたので、密室ではありますが、密集・密接はなく、感染予防の管理も行き届いている施設なのでまずもって安全だと安心しております。


閑話休題、『三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実』。


このような貴重映像が残っているとは驚きでした。(業界では有名なのかな?)


自決1年前の三島由紀夫が単身で東大駒場キャンパス900番教室に乗り込み1000人の全共闘の論客・強者を相手に討論するという空前絶後の出来事のドキュメンタリー映像がTBSの緑山スタジオから発見され、このたび映画として日の目を見ました。


当時の学生の頭の良さに舌を巻きます。勉強も相当していることは発する言葉からもわかります。内容が哲学的で難しく、これを当時の学生らはよく理解できたと感心してしまいました。みんな借り物の意見ではなく、自分のオリジナルの意見を述べるわけですから。


対する三島由紀夫も知識・経験・実績、そして論理の組み立てでは何も負けていません。負けているところがあるとすれば、学生・若者に対する年長者の遠慮(あるいは若さへの敬意でしょうか?


もし、三島が頭ごなしに強く言えば、こんな長時間の討論にはならなかったでしょうし、もしかすると揉みくちゃの乱闘になったかもしれません。


映画の中である方が語ったように、三島は学生に対してとても丁寧に語り、論理の矛盾を突いたり、揚げ足取りをするようなことも全くありません。


そのため三島が劣勢に立たされているように見えるのですが、実は決してそうではないのです。


当時の全共闘の学生や楯の会の人たちが50年の歳月を経てインタビューに登場します。失礼ながら才気ある若者たちも一人を除き今では好々爺然としています。その姿を見て、若さの尊さ・可能性を感じずにはいられません。


本作は映画というよりは「NHKスペシャル」を見ているような気がしました。


貴重な映像を冒頭にも書きましたように一人で、貸し切り状態で大スクリーンで見れたのは幸運というべきでしょう。


新型コロナウイルスの厳戒態勢の中、軽々しくぜひ観てくださいとは言えませんが、地方に住んでいて「三密」の心配がない方はぜひご鑑賞ください。

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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 [キネマのブルース]

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今月初め、「午前10時の映画祭」にて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観てきました。


昨年4月、『未知との遭遇』からはじまった「午前10時の映画祭」、このブログでも紹介させていただいたようにたくさん(27作品中18作品)観ることができました。


そして、私としてはこの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がこのシリーズで観る最後の作品となります。


10年間続いた「午前10時の映画祭」も今回がフィナーレ。こうした企画が終わるのはたいへん淋しいですが、私の観に行く映画館ではいつも観客数は少なく、興行的にはたいへん苦しい運営であったと推測されます。


ネット全盛時代において、自宅で気ままに映画を見るスタイルが定着し、若い人を中心に劇場に足を運ぶ人が少なくなっているようです。


また、青春期に映画を観て過ごした世代も高齢になり、その数は減ることはあっても増えることはありません。その高齢者も長時間映画館で映画を見るのは体力的に心配になってきたため自宅で見る人が増えている感じもあります。


大衆娯楽だった映画もやがては文化財的扱いになるのか、あるいは形をかえて残るのか、いずれにしろ今のままでないことは容易に想像できます。


閑話休題、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、この作品はリアルタイムで観たことは間違いないのですが、どこの映画館で、誰と観たのか全く覚えていません。


今観ても話のテンポがよく、ストーリーは面白い。音楽もよく、そして青春映画。映画全盛期を過ぎ円熟期に入った1980年代、本作は映画が到達した一つの完成形であると私は思います。


ゆえに「午前10時の映画祭」の最後にこの映画を用意したのではないかと私は見ています。


しかしながら、私は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの続編2本はあまり好きではないので今回は見に行くことはしません。


映画のラストシーンでタイムマシンの車「デロリアン」が空中に浮きあがり観客席に向かって一直線に飛んでくる映像は、さすがに特撮は粗いですが、むしろ粗いにもかかわらず、見ていてドキドキして鳥肌が立ちました。


科学者ドクは最後にこう言います。


「未来に道はない」


野暮な解説を書きますと、デロリアンが車道を走るのではなく、空中を飛ぶのでドクはこう言うわけですが、未来に道はない=明るい未来が広がる、そんな風にもとれる言葉でした。


この映画が封切られた1985年、今よりも未来は明るいと信じることができた時代でした。

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『パラサイト 半地下の家族』 [キネマのブルース]

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今話題の映画『パラサイト 半地下の家族』を観てきました。


まずは私の結論を申しますと、5点満点の3.5点です。


まずまず面白いですが、期待を超えるものはありませんでした。


アカデミー賞4部門受賞は何かのまちがいではという気がします。


と、いっても酷評するほどのものではありません。


なんとなく日本の80年代の映画、たとえば、『夜をぶっ飛ばせ』『の・ようなもの』『台風クラブ』を想起するようなところがあります。


『万引き家族』とよく比較されているようです。たしかに似ているところもありますが、万引きの方が洗練されていると思うのは身内びいきかもしれません。


また、韓国の特殊性、すなわち北朝鮮がらみの話題は「現実にこうなのかなぁ」と興味がひかれるところであります。


韓国の貧富の差というのは日本のそれとはまた違ったテイストのようです。


お金持ちの社長夫人の女優さん(きっと有名な方なのでしょうが、私はそのあたりとても疎いです)は若かりし頃の黒木瞳みたいでとてもよかったです。


閑話休題、実は私は学生時代に【半地下】の部屋に住んでいたことがあります。


住んだことがない人はわからないでしょうが、半地下というのは湿気が多く住むには最悪の環境です。


この映画の冒頭のシーンで目線に地面があったり、窓のそばの洗濯物のバックが道路というのも私には少し懐かしい風景だったりします。


そういえば、最初のほうに半地下家族の父親が「近頃便所こおろぎが増えた」とごちる場面があります。便所こおろぎとはカマドーマのことでしょうか?私は似たような経験があるので、このセリフを苦笑して見てましたが、映画を見ている人でこの境遇のわかる韓日米人はどれくらいいるのでしょうか?(韓国には多いのかな?)


今、思い出しましたが、黒澤明の『天国と地獄』も高台に住む金持ち社長と、それを見上げて住む貧民窟の青年の物語でした。


金持ちと貧乏人というのは映画のテーマの一つとしてこれからも受け継がれていくのかもしれません。



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『ジョジョ・ラビット』 [キネマのブルース]

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前評判の高い『ジョジョ・ラビット』を観てきました。


上映館は少し遠く、イオン東員のシネコンまで足を運びました。


悪い映画ではありませんでしたが、前評判ほどでは、というのが私の率直な感想です。


従来の反戦映画とは異なった描き方は認めますが、それほどストレートには心に響いてきませんでした。


主人公の子役の男の子 がかわいかった。ユダヤ人の女の子もチャーミングだし、他の役者さんもみんなイカしてたなぁ。


ということで、私の評価は5点満点の3.5点というところです。

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『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 [キネマのブルース]

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昨日は鏡開きでしたが、私にとっては今年最初に映画を観た日、「映画開き」の日でした。


昨年最後に観たのが『男はつらいよ/おかえり寅さん』だったので、今年最初はこれしかないでしょ!


『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』です!!


第1作を観たときは中学2年生でした。


その時一緒に行った同級生のT君は当時それほど仲良かったわけでもないのに(もちろん仲が悪いわけでもなく)今思えばどうして一緒に行ったのかよく覚えていません。


今はもう閉館した「津スカラ座」で鑑賞しました。


「津スカラ座」は当時、津市内の映画館では新しい方で、洋画を中心に話題作のロードショー館でした。


夏休みに入ってまもなくの頃、館内は満席だったとように記憶します。


それまでにもゴジラシリーズやキングコングなど映画館で観ていましたが、スターウォーズを観た時の驚き・衝撃・おもしろさ・楽しさ・わくわくドキドキ感は今も忘れられません。


その後スターウォーズの新作ができるたびに映画館で観てきました。


最初の3部作ができて、次の3部作には少し間があり、エピソード1~3の製作期間は長かったように記憶します。


もうスターウォーズは作られないのかなぁと思っていたら、ディズニー社がルーカスフィルムを買収して後半の3部作を完成させました。


1ファンにとってはとても嬉しいことです。


最後の作品、完結編が『スカイウォーカーの夜明け』になります。


中学生のときこのような日が来るとは全く想像しませんでした。


ただ、第1作は9つある話の4番目にあたること、これから順次映画をつくって9作完成させると、当時からルーカスは語っていました。


しかし、まさかそんな日が来るとは・・・先ほども書きましたように途中で未完となりそうな感じでしたから。


閑話休題、今回の映画のできはというと、可もなく不可もなくです。すでにスターウォーズは私にとって評価する対象ではなくなっています。


14歳のときに観たときの感動がその後の作品を見続けている原動力になっています。


今となってはこの壮大なスペース叙事詩を、スカイウォーカー家の3代にわたるヒストリーを見届けることができただけで感無量です。


今回の作品の評判は今一つのようですが、もともと第1作も大人たちにはあまり評判がよくなかったと言われてましたから時代が評価を決めるのでしょう。


第1作をいっしょに観に行ったT君は若くして他界したこともあってか私にとってスターウォーズは映画を超えた映画です。


長い間楽しませてくれてありがとう! 感謝します!!





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『男はつらいよ』 [キネマのブルース]

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今年はたくさんの映画を観ました。


といっても主に「午前10時の映画祭」ですので往年の名画が多かったのです。


そのせいか心底良かったという映画には今年は巡り合えませんでした。(過去に観た映画は含めないので。)


閑話休題、今年最後に観た映画はこれです。


『男はつらいよ』


待ってました! 寅さん!!


というような雰囲気ではなかったですね。


この映画、リアルタイムで全作を観てきたような方にはたまらない作品だと思います。


うまくストーリーに織り込んで懐かしい映像がたくさん出てきます。


古い映像の役者さんはみんな若くて美しいです。


昔、村上龍さんが「若いときが一番。年をとったらおしまいだ」みたいなことを以前おっしゃってましたが、この映画を見ているとそんな気がしてきます。


それは登場人物が年をとったというのではなく、日本の社会が年をとったということです。


寅さんが活躍した昭和の日本は若いです。お年寄りの登場人物もなんだか若いです。


寅さんが生きていたら令和の現代を見てなんと言うでしょうか?


さて、今年も残りわずかとなりました。


この拙いブログをお読みいただき誠にありがとうございます。


来年もよろしくお願い申し上げます。(拝)


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スティング [キネマのブルース]

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お馴染みの「午前10時の映画祭10」、本日は『スティング』を観てきました。


本作を映画館で観るのは初めてです。


最初にテレビで観たのは高校生の頃でしたか、少しうつらうつらしながら見てた気がします。当時の印象は最後のどんでん返しに驚くとともにさわやかな映画だと思いました。


今回スクリーンで観ると、話の運びや登場人物同士の駆け引き、そして何よりも衣装が素晴らしいことがよくわかりました。


それもそのはず本作は作品賞に監督賞、そして衣装デザイン賞など8部門でアカデミー賞を取っています。


閑話休題、落ちがわかっているだけに話の展開を追うというよりも(自分のできる範囲ですが)映像の隅々まで鑑賞させていただいたという見方をしてました。


たいへん豊かで有意義な時間を過ごすことができました。昔の名作と言われる映画は本当にいいものです。

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そして、『時計じかけのオレンジ』 [キネマのブルース]

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みなさま台風は大丈夫でしたでしょうか?


日本全体では被害も出ており、災害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。


さて、私のところは台風の被害はなく、仕事は台風のため臨時休業になりましたが、多少風雨が強い程度でしたので、私は映画を観に出かけました。


なんと不逞の輩だと思いながらも貴重な休み(?)を有効に使おうとイオンシネマに行きますと、同じような方がみえまして少し安堵いたしました。


なんか子供の頃に台風で学校が休校になったにも関わらず、天気がさほど悪くなく外に遊びに行ったことを思い出しました。あの時は実は学校があるんじゃないかとヒヤヒヤしました。(もちろん休校でした。)


閑話休題、『時計じかけのオレンジ』。


いやぁ、なんとイカシタ映画なんでしょうか!


映像美、音楽、サイケデリックな色彩、ストーリー、ファッション、メイク・・・どれもこれもみんなカッコよくて、今から47年前にこんな映画を作るなんて、すでに文化は、新しさを生み出すという意味ではこのあたりで止まったのではないかと確信したりしました。


などと論評できるだけの知識も教養も私にはありませんので、ここらで今日はおしまいにします。


この映画を初めて観たというとバカにされそうですね。


ただ、この映画は同時代に観てこそ真の意味があって、当時の若者を悪くしたんだろうなぁと思いますよ。そしてその中から次の担い手が立ち上がってきたのではないかと。


人生の大半を過ぎた身にとってはキューブリックの天才ぶりにただただ感嘆するだけです。


では、失礼いたします。



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ダークナイト [キネマのブルース]

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昨夜、録画してあった『ダークナイト』を観ました。


この映画、観たことあると思ってましたが、勘違いだったかして、全くストーリーに記憶がありません。 イヤぁ、実に面白い映画でした。考えさせられる内容でした。


私はバットマンの実写版テレビシリーズを子供の頃に見ていたこともあってこのダークなヒーローが大好きです。


1989年頃でしたか? バットマンの映画が作られました。この時もジョーカーが敵役で、ジャック·ニコルソンが好演いたしましたが、テレビシリーズのような感じでなかったことに少しがっかりしたのを覚えています。


閑話休題、『ダークナイト』ではアカデミー賞助演男優賞に輝いたヒース·レジャーのジョーカーは最高にいい、怪演ですね。


それにしても破壊や暴力、盗み自体を楽しむジョーカーという生き方は狂気の現代に大いに意味ある設定であると思いました。 できれば映画館で観てみたい作品です。

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『砂の器』 [キネマのブルース]

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前回と話は前後しますが、午前10時の映画祭で『砂の器』を観ました。


今回の午前10時のシリーズで楽しみにしていた1本です。


先日ご紹介した『ベニスに死す』がヨーロッパのことを知らないと本当に理解したことにならないのら、この『砂の器』は日本の古い慣習や戦後の混乱、そして貧困を知らないと本当に理解できないものと思います。


私のような昭和生まれがぎりぎりわかる世代なのではないでしょうか?


本作についてはいろいろ書きたいことがあるのですが、今回は2つに絞ります。


1つは夏の暑さの描き方です。


舞台となる昭和40年代はまだエアコンが行き届かず、夏の暑さを凌ぐ電化製品は扇風機が主流です。事件を捜査する刑事さんらはみんな暑そうで、扇子で仰いだりハンカチや時にはタオルで汗を拭っておられます。それらの仕種がいちいち仕事してる感が出ていて、文字通り汗を流し靴底を減らしての犯人捜しというのが実感されます。


それが観る者の心をつかみます。


これはこの時代の優れた映画に共通する演出だと書くとやや白けてしまうでしょうか?


黒澤明の『天国と地獄』でも夏の暑さが男の汗を使って表現されていました。


2つ目は、緒形拳さんのシーンで私が覚え違いをしていたことです。


緒形拳さん演じる巡査が自転車に乗って田んぼのあぜ道を手を振りながら一直線に走るところを正面から撮影したシーンがあったと記憶していました。畔道の両側に菜の花がいっぱい咲いている画でした。


なんの映画と間違えているのでしょう?


果たしてそんな場面はこの映画にはありませんでした。


そのシーンが最後に出てくるのを楽しみにしていたので少しガッカリしたのと、自分の記憶のいい加減さにあきれてしまいました。


それにしても『砂の器』は名作であって私はやっぱり泣いてしまいました。


嗚咽が館内のそこかしこで聞かれました。


この作品はリメイクされることもあるのですが、この映画バージョンを超えるものに出会ったことはありません。できれば本作のリメイクはやめてほしいものです。


『砂の器』は文字通り不朽不滅の名作です。タイトルと逆説的なのがまた深くていいですね。

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