剣客商売シリーズも巻を追うごとに作風が変化してくる。


作者・池波正太郎の心境の変化が色濃く作品に出ている。


話の筋は陰影が濃くなり、複雑で深い人間関係が描かれる。その分、スッキリした話ではなく、濃い後味が残る。その後味が何度でも味わいたくなる佳い味なのだ。


特に、本巻の最終話である「夕紅大川橋」は本シリーズでも屈指の名作ではないかと思う。


作者の老いの境地が悲しく伝わってくる。




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