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『仏教抹殺』 [本のブルース]




この本を読んで驚きました。

話題になったので、すでにご存知の方も多いでしょう。

歴史の教科書で、明治初期の「廃仏毀釈」ということは知ってましたが、それがこれほど苛烈だったとは知りませんでした。

あの大学者・梅原猛氏は「廃仏毀釈がなければ国宝の数はゆうに3倍はあったろう」と指摘したというのですから驚きました。

著者の丹念な調査で、日本各地の廃仏毀釈の実例が紹介されています。数だけ聞いてあまりピンとこなくても、そのおぞましい実話を読むと、よくぞそこまでと思わずにいられませんでした。

その中には伊勢の寺院のことも書かれています。

閑話休題、神仏習合は日本の古き良き伝統であり、深刻な宗教戦争を回避した我が民族の知恵であったと私は考えます。

しかるに明治になって神仏分離を行い、それが予想以上の広がりをみせて、廃仏毀釈に至るのは同じ国民性の不幸であったと言えましょう。

それには理由があることも、著者はちゃんと書いておられます。

それにしても、偶然にも助かった興福寺の阿修羅像や五重塔を喜ぶとともに、消え去った国宝級の仏像や寺院を想像すると残念でなりません。

京都や奈良も例外でなかったいいます。現在ですらあれほどの寺院や仏像などがあるのですから、かつての日本はどれほどのものであったのかを考えるとため息がでてしまいます。



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