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山本文緒『自転しながら公転する』 [f]

2023-03-14T23:11:48.jpg
山本文緒の最期の長編小説となった『自転しながら公転する』(文庫版)を読んだ。

著者は2021年秋に亡くなっている。

そのことを私が知ったのは、亡くなられてから数日してからであった。

新聞の訃報を欠かさず見ているのに見逃したのか?そのことを知人と話していたら、その知人も知らなかったという。その時は山本文緒の死が何か不思議なベールに包まれたのであるが、真相は膵臓がんだったとのこと。きっと私たちが情報不足だったということだろう。

閑話休題、私がいっとき集中して山本文緒を読んだのは二十年近く前のことである。最初に読んだ短編がとても面白く、やられたぁという感じのどんでん返しにハマったのである。

しかし、当時、文庫で出されていた作品を一通り読んでからは疎遠となった。そして、一昨年の訃報に接し、今回最期の長編を読むことに至った。

山本文緒の長編を読むのは初めてである。平易で、とても巧い文章は読みやすく、飽きずにどんどん読める。しかも内容はグッと面白い!

600ページを超える大作というのに私としてはずいぶん速く読み切った。

私は根が「女子」なので、こういう話は大好きである。読者の大方は女性であると推測する。私のような著者とほぼ同世代の男子が読んだと言えば、天上の山本文緒氏はさぞや驚くことであろう。

実にいい小説であった。
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