町田康著『口訳 古事記』 [f]

読み易い関西弁の口訳ではあったが、内容が複雑で難しかった。
その要因は神様の名前が読みにくく、しかもその数も多いためストーリーの理解を妨げるているからだ。
古事記は日本神話だから、もっと大らかな内容かと想像していたが、実際は神と神の殺し合いや奪い合い、それに伴う陰謀や騙しあいの話がほとんどである。
読んでいてなんとも陰鬱な気分になった。古事記ってこんな話だったんだ、と今更ながら自分の無学を恥じた。
閑話休題、古事記を初めて読んだのは小学5年生の頃だった。もちろん小学生向けに書かれた口訳であったが、途中で挫折した。
以降、たびたび何度か口訳を読む機会はあったが、いずれも途中で棒を折った。
今回、初めて町田康版で読んだのだが、機会あれば他の口訳や原文を読みたいと思う。
それにしても戦前の日本人はこの単純なようで複雑に入りくった話しを皆んな理解していたのであろうか。だとすれば、当時の国民の教育レベルは相当高いものと想像する。