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『土偶を読む』 [f]

2021-06-17T23:57:48.jpg
おもしろい本を読んだ。

『土偶を読む』。

真面目な学者が書いたあ真っ当な本である。内容は学術書ながら、読みやすくスラスラ読める。

(こういう本を読もうかという人は土偶についていくらかの知識と興味はある方であろう。そういう前提で読みやすい。)

土偶は縄文人が食べていた植物や貝をモチーフにしたフィギュアである、という唐突な結論ではあるが、そこに至る過程を丁寧に説明してあり、読んでいるうちに納得も得心もした。

いとうせいこう氏が中日新聞に寄せた書評に、考古学界は本説を無視せず反論してほしいとあった。

まさにその通りである。最悪なのは著者の竹倉史人氏が考古学の専門家ではないということで、同じ土俵では論じないという態度である。(そうあってほしくない。)

竹倉氏のアプローチは思い付きではなく、徹底的に自問自答し検証している。そういう意味で専門家である。

おそらく竹倉氏は、自説を超える合理的な説明があれば自らの説を潔く引っ込めるのではないかと想像する。

閑話休題、久しぶりに知的興奮を覚えて読了した。かつて読んだ『縄文人の知恵に挑む』や梅原猛の『隠された十字架』を想起した。

こういう道を歩むのが夢だった。
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